フランス 情報いろいろ

フランス旅行について

フランスは5月3日にロックダウンを解除し、5月19日には数か月ぶりとなる飲食店の営業再開を果たしました。
状況からみれば新型コロナウイルス感染予防に成功し、生活の自由を徐々に手に入れているようにみえます。

日本を含め、世界中が閉鎖的になり、海外旅行なんて夢のまた夢。そんな中、フランスはロックダウンを解除し、徐々に旅行者の受け入れもおこなわれるでしょう。

フランスにいる人間に関していえば、長い期間ロックダウンを強いられ、それがようやく緩和され、気候も良く、サマータイムで夜9時過ぎまで明るいとあっては、聖人君主であっても羽目を外してしまいたい気持ちになることは十分理解できます。

だけど、少し考えて欲しいのです。

5月21日の一日の感染者数は17000人を超えており、日本国内の総感染者数を遥かに上回っています。
※フランスの総人口は日本の約半分程度である為、人口比率の感染割合も考えると圧倒的な差です。

私のフランス人、日本人の友人・知り合いにも新型コロナウイルスに感染した人も少なくありません。その中には、命をおとしてしまった方もいます。
病院に搬送されても、適切な処置がなされなかったのか、手遅れだったのか、持病が悪化してしまったのか、真偽はわからないけれど、40代、50代の若さで亡くなっている方たちもいます。

ファッション業界で言えば、昨年は高田賢三氏、この4月には元ランバンデザイナーのアルベール・エルバス氏がパリのアメリカン・ホスピタルで新型コロナウイルスによって死去しました。
高田賢三氏はご高齢でしたが、エルバス氏は59歳の若さでした。若干、持病を抱えていたかもしれませんが、それでも御高名で富裕層にあたる御仁です。
そのような彼らでさえ、新型コロナウイルスは近代医療の成長をあざけわらうかのように猛威を奮います。

もしコロナの感染者が、フランス在住者以外の旅行者だったとしたら、どうなるでしょうか。
少し想像をしてみましょう。

突如の高熱が出た場合、どうしますか。
友人がフランスにいて旅行中ずっと一緒にいるのであれば、どうにかなるかもしれませんが、ホテルであった場合、コンシェルジュがすぐに救急車を呼んでくれるでしょうか?
高級ホテルに滞在しているのであれば、少なからず的確な対処はしてもらえるかもしれませんが、普通のホテルであれば、翌朝に対処を延ばされるかもしれません。いったん様子をみようと判断されるかもしれません。

ワクチン以外の薬は何が良いのかもわからない、アジア人と欧米人では薬の容量も少なからず違います。そのような判断を医師以外が適確にうながすことは難しいでしょう。

救急車を呼んでもらえたとして、どの病院が適切なのでしょう。
救急隊や救急の搬送者は、ベッドの空き状況で搬送先を割り振ります。病院によっても当たり外れはあります。※コロナではないですが、私の友人も救急車で運ばれ、お世辞にも優秀な病院ではないところへ搬送され、病状が悪化しました。

日本でお金持ちであっても、紹介状や病院のツテがなければ、フランスでは相応の便宜ははかってもらえません。
言葉をしっかりと話せ、把握できていなければ、適切な処置をうながすこともできません。

新型コロナウイルスの感染者の場合、友人や知り合いのお見舞いも制限されてしまいます。不安は募るばかりでしょう。
もし携帯電話がつかえない状態であった場合、日本の家族、友人、大切な人にどのように連絡をとったらいいでしょう。日本では大騒ぎになる可能性だってあります。

医療保険で医療費はカバーされますが、それは日本帰国後の処理になります。ICUや救急の医療費は建て替えないといけない場合もあります。※ぼくの友人は旅行中に緊急入院となり、生死をさまよいましたが、一命はとりとめました。けれど、入院費など含め1000万円近いお金を用意したと聞いています。

考えたくはありませんが、もし命をおとされるようなことがあった場合、日本に搬送されるまでの時間やお金は考えたことはありますか?

想像しても何も良い案が浮かびません。
運が強いから大丈夫という運頼みしか思いつきません。

だから、旅行での渡仏はもう少し待ってほしい。
ほんのちょっぴり『万が一』を考えてほしい。

もちろんコロナの影響がなかったとしても『万が一』はあります。だけど、今はその確率が普段より高いと思うのです。

と、まあ、口うるさく大袈裟に書きましたが、こういうこともあり得ると思ってください。

最後に…。
今フランスに行ける人は、この先何度もフランスに行くチャンスはあります。
今が最後じゃないですよ。

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